開業部会 業務お得情報⑪

36協定届の電子申請と2019年4月からの新書式案の公開について

昨年12月より、行政手続の簡素化として、社労士が労働基準法に規定された届出等を使用者に代わり電子申請により行う場合において、社労士の提出代行証明書の添付をもって、使用者の電子署名及び電子証明書の添付に代えることができることとなりました。

今回の改正の対象となる手続は、労働基準法及びこれに基づく命令の規定により、使用者が労働基準監督署長に対して行う許可、認可、認定、指定の申請、届出、提出、報告等の手続であって、電子申請が可能であるすべてのものとなりますが、社労士が最も多く取り扱うものとしては「時間外労働・休日労働に関する協定届」(以下「36協定届」という) の届出になると思います。

現在、この手続きはe-govからの申請のみでありますが、今まで関与先との間で協定届を往復させる必要があったことを考えると、簡素化が図られた側面はあります。

今回の簡素化にあっては、「事業主印は良いとしても、従業員代表の選任があるのでは?」という疑問が当然に出てくることと思います。
e-govの36協定届の申請画面を確認すると、手続概要に「時間外労働・休日労働に関する協定の締結当事者の要件を満たさない場合には、当該協定は無効になる」旨が明記されている他、従業員代表の選任に関するリーフレットが案内されています。
【締結当事者の要件について】
http://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/FileDownload?seqNo=0000421138

適正な過半数代表の選出を前提とした電子申請でありますので、関与先に協定届(兼協定書) 案を確認してもらい、協定代表者である従業員の署名をもらうことは、適正な労働者代表の選任を行ったことの証憑として必要です。紙での提出は行わずとも、紙の36協定を作成し、労働者代表の署名をもらう形になろうかと思います。

実際の申請は、e-gov の画面上で協定届に入力し、社労士の電子署名を行い、提出代行証明 書を添付して送信することで完了します。 (協定届画面)



電子申請を行った後、しばらくすると通知が届きます。地域によって異なるかと思いますが、8月初旬に都内の労働基準監督署に提出した協定届は数時間で受付通知が届きました。
紙のように控えに受理印が押されるものではなく、「本日届け出られた36協定届を受け付けました。」等の通知が届いて完了となりますので、あっけない印象も受けます。
押印された控えは残りませんので、関与先企業によっては、これまで通りの紙提出を続けた 方が良い場合もありますし、電子申請を行う場合も控えの渡し方には工夫が求められます。 (通知画面)





【2019年4月以降の新書式案】
来年4月に控えた労働基準法の改正に向け、現在、新たな36協定届の案が公開されています。
【第145回労働政策審議会労働条件文科会(配布資料)】
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000024580_00003.html

特別条項については別様式が設けられており、「限度時間を超えて労働させる労働者に対 する健康及び福祉を確保するための措置」を定める必要があります。今後の動向について も注目が必要です。

法律の目的を理解し、適切に手続きを行うことができる社労士だからこそ、今回の簡素化が行われたものと考えます。関与先との信頼関係構築の重要性が高まるのみならず、定型業務のより深い理解と実務での対応が必要とされる内容ではないでしょうか。


開業部会協力委員 金光由美子