知って得するお役立ち情報⑧

労災保険の改正事項


今回は、労災保険における「脳・心臓疾患」の認定基準に関するご説明を致します。
脳出血や心筋梗塞など、死に直結するリスクのある「脳・心臓疾患」の労災認定基準が20年ぶりに見直されました。

●改正点のまとめ

1. 長期間の過重業務の評価にあたり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化


労働時間

発症前1か月間に100時間
又は
2~6か月平均で月80時間を超える時間外労働の水準には至らないが、これに近い時間外労働

+

一定の労働時間以外の負荷要因

⇒業務と発症との関連が強いと総合評価されます。



2. 長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し

・下記赤字の項目を新たに追加しました。

労働時間以外の負荷要因

勤務時間の不規則性

・休日のない連続勤務
・勤務間インターバルが短い勤務

※「勤務間インターバル」とは、終業から次の勤務の始業までをいいます
・拘束時間の長い勤務
・不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務

事業場外における移動を伴う業務

・出張の多い業務
・その他事業場外における移動を伴う業務

心理的負荷を伴う業務
※改正前の「精神的緊張を伴う業務」の内容を拡充

身体的負荷を伴う業務

作業環境
※長期間の過重業務では付加的に評価

温度環境

騒音

 勤務時間の不規則性に「勤務間インターバル」が追加されたので、勤務時間が不規則な業種(病院や介護施設など)については、今後注意が必要です。



3. 短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化

・業務と発症との関連性が強いと判断できる場合として、以下の例を示しました。

短期間の
過重業務

発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合

発症前おおむね1週間継続して、深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど、過度の長時間労働が認められる場合



異常な出来事

業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合

事故の発生に伴って著しい身体的、精神的負荷のかかる救助活動や事故処理に携わった場合

生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験した場合

著しい身体的負荷を伴う消火作業、人力での除雪作業、身体訓練、走行等を行った場合

著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態や著しく寒冷な作業環境下での作業、温度差のある場所への頻回な出入りを行った場合

※上記はあくまでも例示でありこれに限定されるわけではありません。

4. 対象疾病に「重篤な心不全」を新たに追加

【改正前】
不整脈が一義的な原因となった心不全症状等は、対象疾病の「心停止(心臓性突然死を含む)」に含めて取り扱っていました。
【改正後】
心不全は心停止とは異なる病態のため、新たな対象疾病として「重篤な心不全」を追加しました。「重篤な心不全」には不整脈によるものも含みます。

不整脈の潜在患者数は100万人と言われております。不整脈を含む「重篤な心不全」が原因となり「心停止」に至るため、その前段階の「重篤な心不全」を独立した病態に含めました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/090316_00006.html

コロナ禍に伴うリモートワークをはじめ、働き方が多様化し、従業員の就労実態の把握が逆に難しくなっております。こういう状況であるからこそ、認定基準の改正を見直して、従業員の健康状態に留意することが、事業主にとって大切になっていきます。



開業部会 小松 勝

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