知って得するお役立ち情報④

---社会保険の適用拡大への備え---


週30時間以上働く方に加え、従業員501人以上の会社で週20時間以上働く方などにも厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象が拡大していますが、更に2020年5月29日には「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、2022年10月以降、その対象範囲が段階的に広がる予定です。これまで対象外とされていたパート・アルバイトの方にとっては健康保険の各種給付が受けられるようになること、将来の年金額の増額が見込まれることなどのメリットが生じる反面、企業サイドから見れば法定福利費の増加という頭の痛い問題が発生することになります。具体的なスケジュール及び対象労働者の範囲など、我々社労士として、留意すべき点についてピックアップいたします。


●適用拡大のスケジュール

時期 新たに対象となる企業規模※
2022年10月から 従業員数101人~500人の企業
2024年10月から 従業員数51人~100人の企業

※上記の表における従業員数の数え方は「フルタイムの従業員数」と「週労働時間がフルタイムの4分の3以上のパート・アルバイト従業員数」を合算した人数、つまり現在の社会保険の適用対象者の人数が基準となります。

●新たに対象となる方の要件

・週の所定労働時間が20時間以上であること
・賃金の月額が88,000円以上であること
・学生でないこと
・雇用期間が2か月を超えて見込まれること※
※これまでは「雇用期間が1年以上見込まれること」でしたが、変更後は通常の被保険者の要件と同じく、2か月を超えて雇用されることが見込まれる場合、となります。

●必要な手続き、備え等

①新たに被保険者となる対象者の把握
対象者を洗い出し、どの程度社会保険料額が増加するのかを顧問先等にお知らせする必要が生じてくるでしょう。また実務上は、対象となる要件(賃金、労働時間など)のボーダーライン上にある従業員については、従業員本人の意向も確認の上、(有期労働契約等であれば)契約更新時の新たな労働条件等について検討する必要もありそうです。

②従業員への説明
これまで配偶者の扶養範囲内で労働条件を抑えて働いていた従業員等でも場合によっては対象となる可能性があり、その場合社会保険料だけに目を向ければ負担が増えることになります。また自ら国民健康保険や国民年金に加入していた従業員でも、負担が増えることもあるでしょう。従業員によっては社会保険への加入を回避する為に、労働条件(労働時間など)の見直しを求める方もいらっしゃるかもしれません。対象となる従業員にはそういったことを考慮し丁寧な説明を行う必要があるでしょう。

③2022年10月以降の資格取得届の準備
当然のことではありますが、特に対象者が多い顧問先の場合は、資格取得届に必要な各種情報(各種番号、見込み賃金額、被扶養者の有無など)を早めに収集し備えることが大切です。

最後に・・・
今回の制度改正は、企業サイドで考えれば「負担増」につながるものです。
ただ「法改正なのだから負担が増えるのは仕方ない」だけではなく、制度改正前に労働条件を見直し、対象予定者を事前に社会保険に加入させておくことを検討するなど、助成金(キャリアアップ助成金「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」「短時間労働者労働時間延長コース」等)を活用することによって企業サイドの実質的な負担を減らす提案などを行うことも、我々顧問社労士に求められる役割であろうと考えられます。

参考:
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/index.html

厚生労働省パンフレット「キャリアアップ助成金が令和3年度から変わります」
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000761985.pdf

開業部会 堀拓磨

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