知って得するお役立ち情報⑪

職員なし一人法人における「iDeCo+(イデコプラス)」の活用事例


私は、職員を雇わず社労士1人のみで事務所運営しています。数年前に法人化し、社会保険にも加入しました。老後資産形成のため、上乗せとして選択制DC(企業型確定拠出年金)を導入していましたが、2020年より最新の制度である「iDeCo+(イデコプラス:中小事業主掛金納付制度)」に切り替えました。その経緯等、当方の実例をお伝えしたいと思います。


1.選択制DCとiDeCo+の比較

どちらも法人経費で掛金を積み立てることになりますが、加入者が1名だけであることを考えると、選択制DCのほうが手数料負けしやすいと言えます。一方でiDeCo+は、掛金の限度額は低いものの、手数料を安く抑えられるのがポイントです。iDeCo+は個人で加入するiDeCoに会社掛金を上乗せする制度ですが、ベースとなるiDeCoの手数料しかかかりません。
そこで、自身の受け取りまでの期間も考慮し、コストの安いiDeCo+に切り替えることにしました。



制度の導入・運営にかかるコスト(例)

加入者:1名 選択制DC iDeCo+
(a)導入コスト 113,300円 2,829円
(b)ランニングコスト(月) 6,160円 171円
(c)掛金の上限(月) 55,000円 23,000円
(うち個人1,000円以上)
(d)手数料の割合 (b)/(c) 11.2% 0.7%

*手数料は金融機関によって異なる

2.選択制DCからiDeCo+への移行手順

①選択制DCの解約
金融機関に選択制DCの脱退申請をし、所定の書類一式を提出します。総合型DCからの脱退となり、事務手数料が22,000円かかりました。

②資産をiDeCo口座へ移換
任意の金融機関でiDeCo口座を開設し、選択制DCの資産を移換します。資産移換手数料が4,400円かかり、口座開設・資産移換完了には約2ヵ月を要しました。

③iDeCo+の導入
②と並行して、国民年金基金連合会に導入書類を郵送届出します。導入手順と必要書類一式・記載例など、すべてiDeCo+公式ウェブサイト(https://www.ideco-koushiki.jp/owner/ideco_plus.html)に掲載されています。自分1人だけが対象であれば、基本情報・掛金額・形式上の労使合意書など最低限の書類で足り、就業規則は不要です。しかし、企業型DCに比べて簡略化されているとはいえ、書類不備等があると導入が遅れる場合があり注意が必要です。



3.注意点

iDeCo+の掛金は法人口座から引落しとなりますが、うち個人掛金(1,000円以上)は給与天引きする必要があり、小規模企業共済等掛金控除として毎月所得控除しなければなりません(社会保険料と同様に控除後に課税)。給与計算ソフトによっては追加設定が必要となります。



4.おわりに

今回の事例は、株式会社の1人社長でも同様に考えることができます。社労士事務所(個人事業)と株式会社を併用して事業を行っている場合など、老後資産形成の手法の選択肢として、ご参考になれば幸いです。



開業部会 宮田 和季

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