知って得するお役立ち情報⑨

最高裁判例と近時の法改正情報・労政の動向について


1 最高裁判例

ご承知のとおり、昨年10月、我々社労士も注視していた同一労働同一賃金に係る判決がなされました(メトロコマース事件、大阪医科薬科大学事件及び日本郵便事件)。既に様々なセミナーなどが開催され、聴講された方も多いと思いますが、お役立ち情報としても簡単に取り上げたいと思います。


●今回の最高裁判決の意義

◇正社員の賞与・退職金の目的について有為人材確保論を採用する場合があることが明らかになった。
◇比較対象が原告側で選択する正社員に限定されることが分かった(ガイドラインは全正社員を比較対象としている)。その上で、比較対象の特殊性については、「その他の事情」で考慮することが明らかになった。
◇賞与不支給及び病気休暇非適用の不合理性の判断においては、ガイドラインと異なり「職務の内容範囲等」を重要な判断要素とすることが分かった。
◇「正社員の賞与の60パーセントを支払え」といったような割合的認定方式の判決を出さないことが明らかになった。今後は適法か違法か(不合理ではない、不合理)の判決しか出ないと考えられる。
◇正社員登用制度が賞与・退職金の不合理性の判定で「その他の事情」として位置づけられることが明らかになった。
◇期間雇用の定年制度という方式が雇い止めのみならず、日本版同一労働同一賃金においても不利に働くことが明らかになった。
  ◇病気休暇や扶養手当について、「相応に継続的な勤務が見込まれる場合」という概念で不合理性を判断することが明らかになった。

●判決を踏まえ、社労士として留意する点のまとめ

①手当だけではなく休暇等の待遇も個々に比較する。
②それぞれの手当等の性質・目的に着目する。
③実際の運用と異なっていたとしても、「就業規則に定めがあること」は重要
④職務の内容等が異なっていたとしても、同一が求められる手当等が存在する(住宅手当は性質・目的によって結論が変わるので注意)一方、職務の内容等が異なっているのであれば、基本給の決定方式が異なるのは構わない。また、基本給に連動する手当(賞与、退職金)については、相違が認められる場合がある。この場合、「正社員の何割」といった均衡判断は求められない(「なし」だから即不合理というわけではない)。
⑤会社の経営判断が重要視される手当がある(賞与、退職金など)。ただし、パートタイム・有期雇用労働法8条の趣旨から代替制度は検討した方がよい。
⑥期の人材確保の観点から正社員を優遇する制度が認められた一方、契約社員であっても「相応に継続的な勤務が見込まれる場合」は、正社員と同一であることを求められる場合がある。
⑦約社員に定年制を設けることは、「必ずしも短期雇用を前提としたものとはいえない」と判断され得る。
⑧正社員登用制度」は、その他の事情として考慮され得る。

2 労働者派遣法

(1)令和3年度「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について
【令和2年10月20日通達】
https://www.mhlw.go.jp/content/000685419.pdf
(2)労使協定方式に関するQ&A(第3集)【令和2年10月21日公表】
https://www.mhlw.go.jp/content/000685364.pdf
(3)労使協定イメージ【令和2年12月4日公表版】
https://www.mhlw.go.jp/content/000701813.pdf


3 労働基準法

(1)モデル規程【令和2年11月公表版】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
(2)行政手続における押印原則の見直し【令和2年12月版】
https://www.mhlw.go.jp/content/000709033.pdf


4 育児介護休業法

モデル規程【令和2年10月公表版】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533.html


5 労働安全衛生法

情報通信機器を用いた安全・衛生委員会の開催について【令和2年8月27日通達】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200901K0020.pdf


6 雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会【令和2年12月16日公表版】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15522.html


7 障がい者の法定雇用利率の引き上げ

⇒2か月後ろ倒しになりました。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000761619.pdf


開業部会 長谷川 淳一