知って得するお役立ち情報⑨

感染症への対応と近時の法改正情報・労政の動向について


1、感染症対策
新型コロナウイルスの関連ニュースは、日々みなさんの大きな関心事かと思います。コロナウイルスは1/28に指定感染症とされましたので、法律(感染症法)上就業を禁止され、り患したことが確定した場合は、労基法26条には該当しませんので、休業手当を支給する必要はありません。ただし、発症が確認されるまでの間に、使用者が自宅待機を命じた場合には「使用者の判断(責に帰すべき事由)による自宅待機」となり、休業手当を支給しなければなりません。【愛知県労働局からの照会に対する、厚労省労働基準局監督課による平15.5.22付回答ほか】

<官報>
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000589748.pdf

<感染症法条文>
http://www12.plala.or.jp/taacohya/Houki/KOSEIRODOU/Kansenshoho/KansenshoYoboho_frame.htm
従業員の感染症り患による就業制限(出勤停止措置)に関する法律、出勤停止措置の対象となる感染症と休業手当の要否を下表にまとめました。


法律 条文 対象となる感染症 出勤停止命令者 就業規則の要否 休業手当の要否
感染症法 18条 天然痘、結核、特定鳥インフルエンザ、コレラ O-157感染症等(以上、第1類~第3類抜粋)新型インフルエンザ、新型コロナウイルス 法による強制及び都道府県知事 不要 不要
6条 季節性インフルエンザ、ノロウイルス、A型肝炎等 事業主 必要 必要
安衛法 68条 病毒伝ぱのある伝染性疾病
心臓・腎臓・肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるもの
※感染症法第1類から第3類に相当する疾病
法による強制 不要 不要
安衛則 61条
労契法 5条 従業員の生命及び健康を危険から保護するよう配慮すべき疾病 事業主 必要 必要


季節性インフルエンザについては、識者によれば、民法上の観点から、り患した場合はそもそも「労務不能」なのであるから賃金請求権は発生しないという見解もあります。また、労基法コンメンタールによれば、「休業とは、労働者が労働契約に従って労働の用意をなし、しかも労働の意思をもっているにもかかわらず、その給付の実現が拒否され、又は不可能となった場合をいう。」と説明がある一方、菅野和夫著労働法12版457頁では、「休業手当支払義務を生ぜしめる休業の事由としては、一般的には機械の検査、原料の不足、流通機構の不円滑による資材入手難、監督官庁の勧告による操業停止、親会社の経営難のための資金資材の獲得困難(昭23.6.11基収1998号)などが考えられる。」とあり、労基法26条では民法における「債務者の責に帰すべき事由」より広い範囲で「使用者の責」がとらえられています。

<助成金、QA他>
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000603338.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000602479.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000605827.pdf
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/03/05/27.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html


2、賃金等請求権の消滅時効
改正後の法の適用(時効3年)は、施行期日以後に賃金支払期日が到来した賃金請求権であり、付加金の請求期間についても同様の取扱いとなります(施行後5年後に原則とするか検討)。一方、年休の時効は2年のままですが、「年休は、労働者の健康確保及び心身の疲労回復の制度趣旨を踏まえれば、年休権が発生した年の中で確実に取得することが要請されているものであり、仮に消滅時効期間を現行より長くした場合、この制度趣旨にそぐわないこと、また、年休の取得率の向上という政策の方向性に逆行するおそれもあること。」と労政審は説明しています。
<労政審分科会「賃金等請求権の消滅時効の在り方について(報告)>
https://www.mhlw.go.jp/content/11210000/000581932.pdf


3、雇用保険制度の見直し
分科会では、高年齢雇用継続給付については、「段階的に縮小することが適当であり、令和6年までは現状を維持した上で、65歳未満の継続雇用制度の経過措置が終了する令和7年度から新たに60歳となる高年齢労働者への同給付の給付率を半分程度に縮小することが適当である」としています。
<雇用保険部会報告>
https://www.mhlw.go.jp/content/11607000/000581065.pdf


4、70歳までの就業機会の確保及び中途採用に関する公表
<成長戦略実行計画(抜粋)>
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000559899.pdf
<高年齢者の雇用・就業機会の確保・及び中途採用に関する情報公表について>
https://www.mhlw.go.jp/content/11703000/000581181.pdf

開業部会 長谷川 淳一