知って得するお役立ち情報⑧

雇用保険料の免除廃止と健康保険の被扶養者の国内居住要件について


今回のお役立ち情報は、今年予定されています制度改正の中から、実務に直結する「高年齢労働者についての雇用保険料免除制度の廃止」と「健康保険の被扶養者における国内居住要件の追加」について取り上げます。


1 高年齢労働者(満64歳以上)雇用保険料免除制度の廃止

保険年度の初日(4/1)において満64歳に達している被保険者については、事業主及び被保険者自身の雇用保険料の負担が免除されてきました。しかし、2017(平成29)年1月1日に施行された改正雇用保険法により65歳以降に雇用された方についても雇用保険の被保険者とすることにあわせ、高年齢労働者についての雇用保険料の徴収免除は廃止されました。この保険料免除については3年間の経過措置が設けられていましたが、今年4月よりいよいよ徴収を開始しなくてはならないこととなり、実務上は以下の点について注意が必要になります。

(1)給与計算事務を受託している場合
 ・ご自身の給与計算ソフトの仕様、設定の確認
 ・新たに雇用保険料を徴収することになった方への案内等
(2)給与計算事務を受託していない顧問先
 ・給与担当者への情報提供等
(3)労働保険料の年度更新について
 2019(令和元)年度確定保険料については高年齢労働者分を算定基礎から除いて雇用保険料を申告し、2020(令和2)年度概算保険料については、これまで免除対象となっていた方の賃金も算入することになります(免除対象者がいる場合、確定と概算の算定基礎額は必ずしも同額とはなりません)。
 ※今回の制度変更により概算確定保険料申告書等の書式の変更も予想されますが、2020年1月末時点で東京労働局に問い合わせたところ、具体的な通知等は下りてきていないとのことです。


2 健康保険の被扶養者における国内居住要件の追加

健康保険は日本人のみならず外国人であっても、適用事業所に使用され、労働時間など一定要件を満たせば日本人同様に被保険者として強制加入となりますが、その家族についても一定の要件を満たす場合には被扶養者として、日本に生活の拠点がない方でも健康保険制度の恩恵を受けることができる仕組みになっていました。しかし、外国人労働者の受け入れ拡大に備え、被扶養者要件を見直し、一定の例外を設けた上で、原則として国内居住を被扶養者の要件とすることとした改正健康保険法が、2020(令和2)年4月1日より施行されることとなり、今後、実務上は国籍を問わず以下の点について注意が必要になります。

(1)人事担当者への情報提供及び対象となる被扶養者の把握
(2)海外に居住する被扶養者が例外事由(海外に居住しているが被扶養者となる方)に該当するか否かの確認
(3)上記例外事由に該当せず、被扶養者の要件を満たさなくなる方については扶養削除の手続きが必要
※例外事由に該当する海外居住の被扶養者の扶養追加手続きに関しては今後一定の添付書類が必要になります。

※以下、参考となるURLを記載いたします。
現時点で公の機関が公表している資料等が少なく、東京労働局、日本年金機構、全国健康保険協会など厚生労働省管轄の団体以外のものも含みますので、詳細につきましては個別に東京労働局、日本年金機構、全国健康保険協会等にご確認ください。

【雇用保険の改正のお知らせ】
http://uenohoujin.or.jp/service/pdf/28.08koyouhoken.pdf#search=%27%E9%9B%87%E7%94%A8%E4%BF%9D%E9%99%BA+%E5%85%8D%E9%99%A4+%E7%B5%8C%E9%81%8E%E6%8E%AA%E7%BD%AE%27

【雇用保険の適用拡大等について】
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/tekiyokakudai.pdf

【雇用保険制度の一部が変わります】(北海道労働局)
https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/content/contents/64.pdf

【満64歳以上の雇用保険料免除について】(牛久市商工会)
https://ushiku-sci.org/news/1705.html

【事業主の皆様へ】被扶養者における国内居住要件の追加について
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200121.html

【日本国内に住所を有する被扶養者の認定事務について」に関する留意点について】
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3627&dataType=1&pageNo=1

【被扶養者の国内居住要件等について】
https://hokaibu.com/wp-content/uploads/2019/12/%E8%A2%AB%E6%89%B6%E9%A4%8A%E8%80%85%E3%81%AE%E5%9B%BD%E5%86%85%E5%B1%85%E4%BD%8F%E8%A6%81%E4%BB%B6%E7%AD%89%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf

【被扶養者認定要件の改正省令について】
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000517326.pdf

社労士が関与する労働・社会保険諸法令は、毎年のように目まぐるしく改正され、知識のアップデートも一苦労です。しかし、こういった「法改正の多さ」にしっかり対応し、適切に処理・アドバイス等をすることも社労士の存在意義の一つではないでしょうか。開業部会では皆様の知識のアップデートに役立つ各種研修も主催しておりますので、多くの方のご参加をお待ちしております。

開業部会 堀拓磨