知って得するお役立ち情報⑥

社労士事務所の経営に役立つ補助金・助成金についてご案内いたします。補助金には中小企業の経営を支援する様々なものがありますが、今回は販路開拓(営業活動)のための補助金・助成金を取り上げようと思います。


1 小規模事業者持続化補助金(国)

今年の公募期間は既に終了していますが、過去5,6年間継続して実施されている補助金です。今年度の補正予算、または来年度予算でも引き続き実施されるものと思われます。


1.1 補助金の概要
 補助は「経営計画」に基づき小規模事業者が行う、販路開拓の取組に対して行われます。例えば、Webサイトの制作、チラシ類の作成、展示会への出展、書籍の購入費用、店舗改装費などへの取組が、補助対象経費として認められています。
 ここでいう小規模事業者とは、常時使用する従業員の数が、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下、製造業・その他の事業は20人以下の者のうち、営利法人および個人事業主を指します。士業事務所も規模の要件を満たせば、小規模事業者として補助の対象となります。
 そして補助額は、補助対象経費の3分の2で、上限は50万円です。すなわち、補助対象経費が75万円の場合は補助額が50万円になるということです。
 補助金の概要はこちらのページにより詳しく記載されています。


<小規模事業者持続化補助金について>
https://h30.jizokukahojokin.info/index.php


1.2 様式2/経営計画
 この補助金は、他の多くの経産省関係の補助金と同様に、要件に該当しているからといって全ての事業者が受け取ることができるのではなく、申請書の内容の優劣が国によって審査され、採択・不採択が決まります。他の事業者と差がでてしまうのは、様式2(経営計画書)と、様式3(補助事業計画書)ですので、この2つを作成する際のポイントを紹介します。
 国が申請書を審査する際に、どのような観点で審査するのかは、公募要領のなかで公表されています。公募要領の51ページから52ページに「審査の観点」が記載されています。 様式2/経営計画書は、自らの強みやビジネスチャンスを適切に把握することを求めています。さらに、どのような販路開拓を行っていくのかという経営方針を定めることになるのですが、その方針が、把握した強みやビジネスチャンスを踏まえて作成しているかどうかが、とても重要です。
 計画が自らの得意領域を踏まえたものであるのか、そしてその計画にはニーズがあるのかが問われます。それらを説得的に記載していく必要があります。


1.3 様式3/補助事業計画
 様式2で、販路開拓に関する経営計画を策定した後に、その計画を実現するための具体的な対策を記載するのが様式3/補助事業計画です。様式2で大まかな方針を決め、様式3ではWebサイトの制作や、事務所案内パンフレットの印刷などの具体的な取組を記載することになります。
 様式3では、取組の具体性や実現可能性が見込めること、様式2で記載された計画との整合性がとれた実施計画になっていること、小規模事業者ならではの取組や、ITを活用した取組が見られるか、さらに事業費の積算が明確で正確なものであるのかどうかが審査されます。


1.4 その他
補助金の申請書を作成したら、地元の商工会議所に様式4の作成を依頼する必要があります。期日間際に商工会議所に依頼すると、提出期日に間に合わない可能性がありますので、余裕をもって申請書を作成しなければならないでしょう。また、多くの商工会議所の窓口では、補助金の公募期間中に相談窓口を開設しています。申請書を作成する前に一度相談されることをお勧めします。
 この補助金は、販路開拓を実施するにあたって、自らの強みやビジネスチャンスを整理して方針を作成し、その方針を実現するための実施計画を作るという、まさに経営計画作成のプロセスを求めています。中小企業庁では、小規模事業者に経営計画の作成を定着させたい意図があるようです。この補助金申請を機に、計画作成の取組を始めてみるのも良いのではないかと思っております。
 なお、この補助金の採択率は募集時期によって変動があるようですが、おおむね3割前後と言われているようです。


2 販路拡大助成事業(東京都)

 小規模事業者持続化補助金は、対象が小規模事業者(社労士事務所の場合は常用の従業員が5名以下)に限定されていることや、採択されるためには他の応募者と競い合う必要がありました。
 一方、この事業はそのような競争的な審査はなく、予算がなくならない限り、要件に該当すれば受給できる助成金です。事業者の規模も中小事業者が対象です。助成の対象となる経費は、展示会に出展するための費用で、経費の2分の1(小規模事業者の場合は3分の2)が助成されます(上限は150万円)。  助成金を受給するためには、次の全ての要件を満たす必要があります。
1 都内商工会議所・商工会で経営診断を受け、助成事業の利用が有効だと認められること
2 前期の売上高が、前々期を下回っていること、又は前期の利益が赤字であること(例外あり)
3 2期以上の決算を経ていること

小規模事業者持続化補助金の対象にならない規模の事務所や、申請したものの不採択となった事務所でも、こちらの助成金であれば受給できるでしょう。一方、この助成事業は経費が展示会出展に関連する費用に限定されており、その点では利用しづらいといえます。

<令和元年度(2019年度) 販路拡大助成事業>
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/hankaku.html


開業部会 久保英信